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違う道

 誰でも何度となく、あそこでああしていたら、違う人生があったなあ、という思い出をお持ちでしょう。

 私の最初の人生分かれ道。 区立中学からの高校進学。 少しだけ人より勉強が出きると、東大を出て、末は博士か、大臣かという時代。 東大を目指すなら、学区内の東大合格率ナンバーワンの高校を狙うでしょう。 私もそうでした。 然し、明らかに無理と分かったら二番手の学校を選ぶでしょう。 ここで、道を誤ったのではないか、という想いはあります。 後悔ではありません。 通学距離が遠く、都電という今は無い路上電車で1時間以上かかりました。 睡眠時間は短縮され、疲労も多かったでしょう。 その結果、成績が悪くなったのかもしれません。 徒歩で15~20分の所にも、ランクは下でしたが2~3校の高校がありました。 もし、その中の上位校に進学したら、精神的、肉体的に楽になり、成績は伸びたのではないか。 良い先生、友達と逢えたのではないか。 私の入学した高校は、昔、市立一中とかで、設備が良く、お坊ちゃん学校と呼ばれていました。 しかし、暗い高校時代でした。 背伸びをしないで、自分に合った学校を選べばよかったのに、という反省はありますが、誰がそれに気が付きますか。 

 次は、職業の選択について。 大学受験に失敗を重ね、死にたいとまで落ち込みました。 高校卒で就職ということは全く考えず、専門学校という選択肢も思いつきませんでした。 人に相談するということすらも頭をよぎらず、とりあえず、バイトをしながら、自分で考えようというのが、私の結論でした。 そして、選んだのが、自転車で30~40分で通える、大学の学食での手伝いという仕事でした。 そこは大学と高等部、中等部の一貫校で、食堂以外に、給食の世話もし、可愛い高校生、中学生を毎日見ていて、癒されもしました。 食堂では専ら食器や鍋類の洗い物で、調理でやったのはサンドウィッチとか、カレーのルーを焦げないようにかき混ぜるくらい。 刃物も使いませんでした。 夏休みでバイトも休みになり、そこで、もう一度だけ大学受験を受けようと決心して、次の年の春、何とか合格しました。 この部分は全く後悔どころか、我ながら良くやったと、自分を褒めている。

 もし、大学に合格しなければ、多分シェフを目指したのではないか、その場合、どのような人生になったのか。 人生の途中では、ただあくせく働くだけで、こんなつまらないことを考える暇は無かった。 でも、違う人生を空想することは、面白い小説を読むのと同じくらい、ドキドキしませんか?