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ニューヨークひとりぼっち(前編)

 ニューヨークには2回駐在したが、これは1回目のときのことである。

家族から離れての単身赴任であった。 日本人ボスはロングアイランドのクイーンズ区にある、通称「国連村」という、国連職員用に建てた、地下1階地上2階建てのタウンハウスという長屋のようなアパートに住み、そこからマンハッタンのダウンタウンにある、オフィスにマイカーで通勤していた。 そこで、私も近所の賃貸物件を新聞広告で探し、家具付きで、キッチンとバスルームは同じフロアーの別の部屋の住人と共同で使う、いわゆる、シェアーするという物件を見付けた。 下見に行ったら2階建ての個人住宅で、オーナーの奥さんというのが割と若いギリシャ系の美人で、地下鉄の駅にも近く、環境もすがすがしく、家賃も安いので、すぐ入居を決めた。 ちなみに、アメリカではこの「家具付き」というのが当たり前で、実に便利である。 足りない場合はレンタルもある。 2階には部屋が3つあり、後から赴任してきた社員とか、半年くらいの短期駐在員とかを入れてやって喜ばれた。 勿論、まったくの他人が入ったこともある。ハワイ生まれの中国系の大学生が入ってきて、レポートをタイプで清書してやったこともある。 若いインド人で、化学系の会社の研修生が滞在していたことがあった。

会社に行かない日は一日中ベッドに寝ていたが、それがなんともインド人らしかった。 カレーをご馳走してくれたが辛いのと、香辛料の匂いが強くて食べられず、一度で懲りた。 ニュージャージーにある大学の講堂でインドから来た舞踊団のショーがあり、連れて行って貰い、民族衣装の古典的な舞踊を鑑賞したのは貴重な体験だった。

 1年位過ぎて慣れたら、クイーンズからマンハッタンのダウンタウンに地下鉄で通勤するのが嫌になった。 クイーンズ区への黒人の進出が急速に進み、地下鉄車内の悪臭が不快であった。 ニューヨークの地下鉄は24時間営業で、それは有難いが、物騒でもある。 さらに、物凄く深いので、階段の昇り降りが大変なのである。 エスカレーターでもあれば違うが、当時はまったく無かった。

 他方、会社の同じ部署の女子職員たちがダウンタウンにフェリーで通勤できるスタッテンアイランド(離島)に住んでいることに気が付き、調べる気になった。