ゴルフボールへの思い(1)

               (一番ホール)

 TVで見ていて松山プロのアプローチ・ショットに舌を巻いた。 流石、世界7位である。 かって、というのは、30年以上前だが、世界の強豪たちのショットと日本人プロのショットを較べて見ていて、「世界は遠いなあ」と溜息をついていたのが嘘みたいである。 改めて、日本人の秘めたるパワー、というか、努力・執念と可能性を信ずべきだという、自信をくれたようで嬉しくなった。

               (二番ホール)

 学業、芸術、スポーツ、どの分野をとっても、能力・意欲とも無かったし、ゴルフは、始めたのが29才と遅かったのに、ゴルフ狂になってしまった。 車の運転も私のは最初はニューヨーク免許だが、いずれも、会社にニューヨークに駐在させて貰ったお陰なのである。 現地法人の社長がゴルフ好きで、健康のためだからと、ゴルフを奨励した。 また、アメリカは練習場も安く、コースも安い。 だから、平日の仕事の後はドライビング・レンジに通い、夢中で練習をした。 一回に300発以上、たまには、500発打ったこともある。 会社の昼休みには、ゴルフの技術、クラブ、プロの成績などの話で盛り上がっていた。 早くハーフ50を切りたいと、無茶苦茶ボールを打ち込み、グラブをしていても、手の平や指のまめをつぶし、血まみれになりながら、バンドエイドを貼って打ち続けた。 

               (三番ホール)

 毎月一回は会社や業界の月例杯があり、空いている週末は、先輩・同僚達とラウンドした。 アメリカは日本と違い、パブリック・コースが多いから、早めに行って並んでスタートを取る。 メンバーコースもコンペだと取れるコースがあった。 先輩たちのなかには、プライベート・ハンデながらシングルが何人もいた。全ての先輩は私より腕が上で、ハンデを貰って握る(賭ける)ゲームも面白かった。 最初の駐在は家庭の事情で2年と短く、100は切れずに帰国した。