ゴルフボールへの思い(2)

                                                            (四番ホール)

 日本でも社内、業界の月例杯はあり、業界コンペは参加費、ハイヤー代を会社が負担してくれた。 日本はパブリック・コースが少なく、会員権が無いとプレーがし難い。 先輩から平日会員権の新規売り出しの話を聞いて、埼玉の小川CCの会員になった。 これで、月一回は月例会に出られるし、接待にも使え、こっちが誘えば、相手も自分か会社が会員になっているコースに連れて行ってくれ、結構ラウンドが出来た。 練習場も値段は高かったが、歩いて行ける芝公園の西武プリンス系のドライビング・レンジで

練習した。 あとで後悔したが、此処でプロのレッスンを受けていたら、この後、全く違ったゴルフ人生、いや、人生の全てが違うものになったかもしれなかった。

                (五番ホール)

 技術の知識は先輩から教わることもあったが、専ら雑誌から仕込んだ。 コンペは結構多く、部内のコンペ、取引先の会社が出入り業者を集めてのコンペ、取引先の担当者との接待ゴルフ、友人・同僚とのプライベートなプレー、変わったところでは、ゴルフ雑誌が主催するコンペ、個人の確定申告を任せていた税理士事務所が主催する顧客とのコンペもあった。 時代が良かったのか、仕事が八割、ゴルフが二割程度の人生だった。 スコアは100を切るようになり、一番面白いレベルに到達していた。 この頃、あるメーカーの箱根の社員寮の温泉に招待された。 着いて風呂~食事の後、麻雀になり、それが徹マンとなり、朝五時ごろ、天気が良いので散歩に出たら、近所にゴルフコース付属の練習場があり、打っても良いというので、少し打たせて貰った。 そこの世話係の老人に「スイングがゆったりしていて良いよ」と褒められ、気分を良くした。 老人が「良いものを見せてやろうか」と言うのでお願いしたら、それがびっくり仰天の技であった。 足元に生えている葉の細い雑草をむしって、小さな輪をつくり、ボールをテイーにのせ、ボールの上に草の輪をのせ、更にその上にもう1個ボールを載せた。 やおら、バッフィー(4番ウッド)を取り出し、「下のボールは普通に真っすぐ前に飛び、上のボールは頭上に真っすぐ飛びあがるから、良く見てな」と言う。 所謂、達磨落としである。 一回目は2個とも前に飛んで失敗。 2回目は見事成功。 みんな拍手喝采。 老人は元ツアープロで、活躍中の誰それは弟子だと言い、また、びっくり。