ゴルフボールへの思い(3)

                                                        (六番ホール)

 六年後、ニューヨークに二度目の駐在となった。 年齢も36才と男としても成熟期を迎えた。 スコアが90に近付き、アマチュアとしては、最大の壁にぶつかる。 90というのは、ボギー ペースとも言い、アマチュアのパープレイと言える。 1ラウンド、18ホールで、ダブル・ボギーを2~3個に抑え、パーを4~5個取れば、90を割ることもある。バーディーが1~2個取れたら、ロウ・エイテイ、つまり、85を割ることもある。 この辺にくると、80を切れるのではないかという欲が出てくる。

 余談だが、私たちが頻繁にプレーしていたコースで女子プロの樋口プロが参加したトーナメントの試合があり、2年連続で見物に行った。 記憶に残るプレーヤーは小柄で距離は出ないが、ローラ・ボーという超可愛い美人プロである。 成績は大したことはなかった。 樋口プロも成績は今一つ伸びなかったが、日本のデパートの屋上でデモを見たことがあり、独特のスイングをアメリカで見られたのは感無量であった。 このコースはグリーンまわりのバンカーが人間の身長の3倍くらいあり、入ったら出すのが難しい。 ホームランすると向こう側にも口を開けて待っており、アマチュア泣かせのバンカーで、絶対入れてはいけない、というのが攻略のポイントだった。

 あるシングルの先輩から「お前はゴルフに向いていないよ」と言われ、そうかも知れないと思った。 というのは、私は高校生くらいから正座が出来なくなっていたからである。 つまり、筋肉が硬いのである。 ゴルフの上手い人は頭が良く、筋肉が柔らかい。 しかし、41才のとき、努力の甲斐あって、業界の月例杯で2か月連続で86と82が出て、ネットがアンダーパーとなり、連続優勝、ハンデがついに「9」とシングルになった。 82をだしたときは「ゴルフってこんなに易しかったのか」と思えるほど不思議な感覚で、17番を終わった時点で18番がパーならついに80を切れると、期待したが、2打目がグリーン前の池にポチャリでトリプルボギーを叩き、82となった。

   ニューヨークのロングアイランドにあるJFK(ジョン・エフ・ケネディ)空港の近くに、Bethpage State Park Golf Coursesというパブリックコースがある。 

 ここにはYellow, Green, Blue, Red, Blackと初心者用から高級者用と異なる難易度のコースがある。 今回この記事を書くにあたって調べたら、料金が高くなっていて驚いた。 それでも、18Hで一人5千円から1万円と日本より大分安く遊べる。(高齢者割引もある) 私は妻と小学生と中学生の息子二人と、四人でよく週末にイエロー・コースで遊んだが、こんなことは日本では出来ないことである。