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はり(鍼灸)の神秘

 

 

 

 3~4年前テレビ放送された韓国ドラマ「馬醫(ばい)」は鍼を打つシーンが

多かったですね。 このドラマはストーリーも面白く、キャストも素晴らし

かったのですが、それにも増して鍼灸術の実際と重要性がたっぷり描かれ

ています。

 

 鍼灸、つまり、<はりと灸>という中国で二千年の歴史がある、神秘に

満ち溢れた療法について、その中身はまだまだ知られていないと思うのです。

たとえば、あなたが首や肩が痛いときに、「はり」を勧められたら何と言い

ますか。「痛そうだから嫌だ」とか「ほんとに効くの?」とか言いませんか?

 

 これは、私と妻がいかに鍼灸の恩恵に浴しているかと言うお話しです。

 私が100%鍼灸の力を信頼しているのは、ニューヨークで「四十肩」

にかかった時, 半年の間熱心に治療すると共に、鍼灸のことを詳しく教えて

くれた若い中国人の鍼灸師のお蔭です。 鍼灸の原理は人間および馬などの

動物が、生まれながらに持っている、「自己治癒力・再生能力」を引き出して、

病を治すという考え方にあります。その鍼灸師は「はり」で殆んどの病気は

治ると云っていました。 私はそれを信じています。

 

 私の「四十肩」はニューヨークで41才で発症したのです。 

「四十肩」とか「五十肩」になる人の割合は知りませんが、かかって

みないと、その痛さ不自由さはわかりません。 

私の場合、原因として思い当たることは、いくらでもありました。 

大学時代からタイプライターを打つのが好きで、毎日何時間もタイプの

前に座っていました。  就職してからも、よく10時位まで残業して

タイプを打っていました。 海外との連絡もテレックスと云い、やはり、

キーを打つ仕事です。

 

 次に、ゴルフとボーリングです。 ゴルフでは練習ボールを打ち過ぎ、

まめをつぶして血も出ましたが、皮が厚くなって治まりました。 

ボーリングは1回に10ゲーム位はプレイしましたが、時々徹夜になる

こともあったのです。(ニューヨークはオールナイトのボーリング場が

あったのです)

 

 決め手は、夏のゴルフです。 暑いからおかしいと思われるでしょう。

 ところが、アメリカのゴルフは汗をかいたまま、シャワーも浴びず、

着替えもせずに、ビールを飲んで車で帰るのです。 問題は車の冷房です。

 汗を乾かすため上半身に直接当てるのでクーラー病になるのです。 

以上で筋肉痛にならないのがおかしい位です。

 

 日本で発症したら整形外科にとびこんだでしょう。 しかし、私はニュー

ヨークにいる間、歯医者にもいったことがなく、風邪をひいたらバッファ

リン、胃の調子が悪ければ、アルカセルツアーと、ドラッグストアーで

買った売薬で用が足りる健康優良児でした。 それに整形外科医という

のはアメリカではボーン(骨)ドクターと呼ばれており、骨折したときの

お医者さまと思っていたので、とりあえず言葉の通じる日本人のお医者

さんに行ったのです。 一人目は内科医だから仕方がないのですが、

痛み止めの内服薬をくれただけでした。 それは一時しのぎで、さらに

痛みがひどくなり、ほかの医者に行ったら、そこも内科医でしたが、

今度は首から血を抜いてみましょうと云われ、効くのかどうかわから

ないまま、とにかく痛いのでやってもらいました。 血を抜くと痺れで、

痛みは一時治まりました。

 

 不思議なことに、どなたも他の医者とか病院を紹介してくれません。

 一緒に働いていた年輩の米国人に相談したら、奥さんがテニスで

手首を痛めた時に、一発で治した凄いカイロプラクターがいるから

紹介すると連れて行ってくれました。

カイロプラクティックという言葉も初めて聞き、興味深々で説明を

聞きました。

 

 基本的には、背骨のスパイン(節)に<よじれ>とか<ずれ>

がおこり、脊髄から出ている神経線維を圧迫して痛みを起している。 

故障を起こしている場所をレントゲン写真で特定し、問題のスパインを

正常な位置に戻すのが治療だというのです。 具体的には、整体師の

ように腕をよじったり、空手チョップのように首を手刀で打つのです。

 問題のスパインは「ゴキツ」と音がするまで圧力をかけられたのです。

 

 赤ん坊のときは正常なのだが、成長するにつれ誰でもスパインに

異常が出てくると云っていました。

 

 腱鞘炎は収まったのですが、右腕を動かすと痛いのは取れず、この

療法士の腕にも信用が持てなくなり、通院を止めてしまいました。 

後で分かったのですが、この治療は鍼灸でも治らない後遺症を残して

しまったのです。 カイロプラクティックが悪いのではなく、

このカイロプラクターが未熟だったようです。

 

 当時ようやくニューヨークのテレビで日本語放送を流すチャンネル

が登場したのです。 そこに名前から中国人と思われる鍼灸師

コマーシャルが流れました。 早速アポを取って訪問しました。

 驚いたのは、予想と違いお若いこと、日本語が流暢なことです。

 奥さんも二人の小さな女の子も日本語でした。 その筈でした。

 彼は京都で日本流の鍼灸術を学んだのです。

 

 はり(鍼)を刺すときは痛いと思っていたら、全く痛くも痒(かゆ)

くもないのです。 ある程度の本数の鍼を立てると、その上に布をかけて

15分くらい置くのですが、その重みでも痛みは起きません。 頭のてっ

ぺんから足の小指の横まで、表と裏と身体の表面全体に順次鍼を立てては

抜き、立てては抜きを繰り返し、終わったら奥さんがオイルを塗って、

その上に火桶のようなものを掲げて、皮膚を暖めるのです。 お灸に近い

効果があるようでした。 これで一回の治療は終わりですが、これだけの

治療のわりには、費用は安かったと思います。(それも会社の保険で払い

戻しがあり、無料となりました) 多分先生も実績を上げようと頑張られた

のでしょう。

 

 鍼灸で使う鍼は注射針と同じく、ステンレスのチューブなのですが、

注射針より

細く裁縫の針よりも細いのです。 材質はニッケルの含有量が多いいようで、

柔らかくてよく撓う(しなう)のです。

 

 さて、治療は毎週土曜日で半年経ちました。 その間勿論ゴルフも

ボーリングもお休みです。 先生と「そろそろ半年ですが、まだですかねえ」

と話していたら、その2~3日後突然、腕が軽く上がり、痛みも完全に

消えていたのです。 奇跡だと思いました。 先生の話では再発はしないが、

恢復率は90%で完治ではないとのことでした。

然し、これで土曜日毎の通院は終わりました。

 

 余談になりますが、この先生はシカゴの大病院から頼まれると、

飛行機で飛んで行って、治療をしていました。 患者は遠くから来ていて、

先生も日帰りなので、午前と午後と二度連続で同じ患者を治療をした

そうです。 鍼灸は当時アメリカでも認知度が低く、そのシカゴの病院の

医師から、論文を提出すれば、ドクターにすると云われて、「胃潰瘍

鍼灸」というテーマで論文を書いているとのことでした。

 

 その後、こわごわ、ボーリングのボールを持ってみると、投げる

ことができません。ウェイトの軽いボールは指が入らず、試せません

でしたが、ボーリングは200アップも数回出したし、諦めることに

しました。

 

 ゴルフの方は身体を左に捩(よじ)ったときに、右肩が少し痛み

ましたが、何とかスイング出来ました。 然し、ドライバー、スプーン、

ロングアイアンは無理な感じです。 バッフィー(4番ウッド)、クリーク

(5番ウッド)、4番アイアン以下はスイング出来るので、やがてコースに

出ることができました。

 

 帰国して東京の港区麻布に住みます。 「四十肩」は再発しませんが、

腱鞘炎とか首筋、肩、背筋の痛みが出たので、近所の鍼灸師を探しました。

 2,3軒通いましたが、ニューヨークでお目にかかったような療法士は

見つかりません。

 

 転居するたびに、近所の鍼灸師を探してかかりましたが、なかなか納得

のいく療法士を見付けられません。 そんなとき、横浜の親戚から、

凄く良い先生がいるとの情報が入り、行ってみました。 そこは、皮膚に

立てた鍼の頭に、低周波の電流を流す電線をクリップで留めて、電流を流し、

強さを患者の返事を聞きながら調整していました。

これは良さそうでしたが、通うには遠くて1回だけでやめました。

 

 アメリカのデンバーという、ロッキー山脈の麓の町に駐在したときも、

鍼灸師を探したら韓国人の療法士がいました。 日本より太めで長い鍼を

使っていました。 治療はあっさりしたもので、ただ鍼を立てて15分

くらいおいておくだけ。 もっとも、これがスタンダードな治療とは

思いますが。

 

 帰国、伊豆の丹那盆地の近くの温泉別荘地でリハビリと称して、

毎日ゴルフと付き合っていました。 朝晩温泉に入り、ウオーキング

しているのに、なぜか、首筋、肩、背筋の痛みが出るのです。 

多分、ゴルフの練習のやり過ぎだったと思います。

探したら三島市にあったのでいってみると1回で治りました。

 リハビリの効果が出て来て軽い故障だったのでしょう。

 

 東京に戻って、立川市に落ち着きました。 また、鍼灸師捜しです。

 最初は立川駅の近くで、女性の療法士に巡り会いました。 

この先生との相性は抜群でした。 毎回1回の治療で痛みが取れ、

間隔も空いて行きました。 しかし、駅のそばで駐車代がかかり、

もっと近い昭島とか地元で探しているうちに、昭島駅のそばの先生が

勉強熱心な方で常に新しい療法を取り入れられ、そのお蔭で、ついに、

前回はいつ治療を受けたかのか思い出せないほどになりました。

 

 妻がパッチワークをやっているために、私と同じ症状で苦しんで

いましたが、この先生のお蔭で痛みを克服しています。

 

 自分の過去の体調を振り返ってみると、消化器系統が弱かったのが、

すっかり健康になっており、ニューヨークで鍼灸師の先生に巡り会った

お陰と感謝しています。

 

 保険もきくようになっており、もし、筋肉痛でお悩みの方で鍼灸

ご存知ないようでしたら、だまされたと思って、鍼灸の神秘をおためしあれ。