へー、ほんと? 第二十四話

 アメリカ西部劇を好きな人って最近は少ないでしょうね。

これは、現代版「シェーン」みたいなお話しです。

 

 彼は49才の日本の商社マン。 普通なら部長職で、更に、

重役になるか、関係会社に出向させられるかという年齢。

自分で開発した商権でもあれば、分社化で社長という

可能性もあります。

 

 然し、彼の場合、数年前から新規商売の開発要員で、組織

からは外れていました。 このたびは、電子関係の盲点とも

いえる、コロラド州デンバー市のワンマンオフィスで

新ネタを探すことになります。

 

 勿論、家族は日本に残して単身赴任です。昼間は、新聞記事

から拾ったネタの調査で近隣のベンチャー企業訪問でつぶれます。

朝は自炊、昼は適当に外食ですが、夜も最初はレストランで

食事するだけだったのが、あるとき、バーに入ってみました。

店内は凄く広く、踊ることも出来そうで、音楽が流れていました。

その音楽はガラス張りの小さなボックスで若い男性DJがレコードを

かけていたのでした。 彼が休憩で出て来たのを掴まえ、一緒に

一杯飲まないかと声をかけました。 しばらく飲んだところで、

妻が韓国人で韓国バー・レストランで働いているから、覗いて

みたらどうか、というので、その店の場所を教わって出ます。

そこへ行って彼女にご亭主から紹介されて来たと告げます。

テーブルに一緒に座って、ウイスキーの水割りを作ってくれます。

つまみに焼き魚を取ると、韓国から空輸で取り寄せたものとかで、

大変いい味でした。 奥の方にダンスフロアーがあり、数曲相手を

してくれます。 夫のアメリカ人は元陸軍の看護兵だったが、除隊

してアルバイトにDJをやっており、彼女が養っているようでした。(続)