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へー、ほんと? 第二十八話

 常識的には家を建てるのは一生に一度である。

私の場合、戦争のために貧乏したせいか、ボロ家に長く住んで

普通の家に住みたいという欲望が強かったせいか、先ず、その

ボロ家をコンクリートのビルに建て替えた。 ローンの返済に

苦労があったが、普通なら定年まで勤めながら、残債の支払いを

していた筈であった。

 

 ところが、バブルという神風が吹いて、建てたばかりのビルを

高値で売却出来た。 そのあとは、値上がり期待で、次つぎと

マンションを購入しては売却したが、矢張り、持ち家の醍醐味は

一戸建てであり、自分でデザインして、建てて貰った家には、

格別の思い出がある。

 

 余談だが、持ち家の最初は温泉付き別荘を、伊豆熱川の小山の

上の平地に建てたことがある。 天気が良いと伊豆七島水平線

浮かんでおり、その眺めに一目惚れして、ローンで建てたもの。

然し、嘘みたいな話だが、未完成のまま、米国に転勤となり、

留守中に、地震で別荘地全体がガタガタになってしまい、道路も

ズタズタ、建物も住めない状態になってしまった。 

だから、一度も泊まらずに使用不能の廃墟になってしまった。

ところが、幸運なことに、隣家が工務店でこの別荘地内で

仕事をしており、物置に使うということで、原価で買い取って

くれたのである。

 

 東京都心の高速道路に近い、地盤の悪い土地に住んでいたから、

緑の多い、地震に強い土地に家を建てて終の棲家にしたかった。

湯河原、熱海あたりで、温泉付き別荘地を見て歩いたが、丹那

トンネルに近く、伊豆スカイラインから駿河湾を見下ろす斜面に

展開する大型温泉別荘地に敷地を見つけ、建物は普通の住宅の

仕様だが、使い勝手の良い家を目指した。別荘仕様だと高価な

ものになるので。

 

 然し、又も、基礎工事に費用を掛け過ぎた。 過去に、斜面に

建てて、一階に車庫がある家を見て、いいなあと思ったり、

アメリカの家が半地下があって、そこにボイラーや作業台

があったり、いろいろな品物の貯蔵場所になっているのを

見ていたから、斜面の敷地を取得したのである。

 

 地盤は丹那トンネルのそばで、地震の心配は無いという

宣伝文句を信用して買ったのだが、工務店と話し合い、

基礎は地震に耐えられる構造にしたら、基礎工事だけで

1千万円かかってしまった。更に、駐車2台分の基礎も

それだけで200万円かかった。 平地だったら、不要な

費用であった。(つづく)