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へー、ほんと? 第二十九話

 斜面に建てたこの家は私と若い設計士で相談しながら

デザインを決めた。 間取りや装備は考えられることを

全て盛り込んだので、結構面白いですよ。

 

【1】目玉はお風呂である。なにせ、温泉だから、露天風呂の

   雰囲気を味わえて、4人一緒に入れる浴槽をタイル張りで

   手作りにして貰った。 

   ロケーションは窓から伊豆スカイラインを見上げるところ、

   建物のコーナーに大きなガラス窓をかぎのてに取り付け、

   最高の見晴らしを楽しみながら入浴出来るようにした。

 

【2】全体の形は、道路から数段の石段を下りると玄関、

   前面は一階建て、後方は二階建てで、前と後ろの接続部分で

   半階段上ると二階、半階段下りると後ろの一階部分になる。

   斜面の特徴を生かしたつもり。

 

【3】風呂の次の目玉は床暖と給湯システムである。調べたら、

   ドイツ製で床暖、給湯、風呂(温泉)の追い炊きが出来る

   システムがあり、伊東に代理店があるので、メンテナンスも

   安心だし、採用した。 燃料は何でも使えるが、灯油は氷結

   しないし、低価格、爆発の危険も無く、地震でも多分安全、

   かつ、一番気に入ったのは、近所のGSがタンクを設置して

   勝手に補給をしてくれるので、灯油仕様にした。

   システムの唯一の欠点は、外出から帰ってスイッチを入れても

   部屋が暖まるのに30分かかるから、電動のエアコンを併用

   しなければならなかったこと。 ボイラーは地下室に作った。

 

【4】床暖は銅管を床下に敷き詰め、特殊なオイルを通して床材を

   暖める仕組み。スイッチが各部屋にあり、個々に暖めることが

   出来る。 伊豆と云っても下田のほうは温暖だが、丹那盆地

   あたりは箱根に似た気候で、冬は寒い。 だから、風呂の洗い場

   のタイルの下、トイレの床下にまで配管して貰った。実際に住んで

   から、ケチって廊下の床下に配管しなかったことを後悔した。

 

【5】フィンランドの客先を訪問したとき、オフィスの地下室のサウナ

   に行って、社長と一緒に入り、「裸の付き合い」をしたことを

   思いだし、風呂のスペースを削ってサウナを付けた。電源も

   200ワットなので、メーターを2個付けた。ところが、

   住んでから、最初のテストだけで、実際に使うことは無かった。

   風呂が24時間追い炊きだから、何時でも入れて、サウナの

   出番が無かったのである。200万円の損。しかし、あとで、

   家を売却するときに「サウナ付き」ということが生きた。

 

【6】アメリカのレストランで、天井にゆっくり回っているファンが

   あったのを思いだし、洋間には2個づつ付けたが夏は非常に

   快適だった。

 

【7】システムキッチンは東京のヤマハショールームに行って、

   オーダーしたら、女子社員が我が家を見に来て、詳細に

   打ち合わせ、浜松の工場に発注してくれた。

 

【8】間取りが三つ目の目玉。 日本の家の間取りは6畳が基本。

   アメリカの家はとにかく間取りがゆったりしており、帰国して

   自分が建てるなら、最低でも8畳の部屋にしようと決めていた。

   今回は土地代が安くて、敷地が広いので、上物にあてる予算は

   余裕があった。 間取りは、LDKは多分16畳、ベッドルームが

   10畳、和室が10畳、オーデイオ兼ダンスルームが16畳、麻雀用

   の掘り炬燵つきの4畳半など、広さだけは充分な間取りにした。

 

 何もかも、注文で建てて貰い、殆んど不満は無かったが、6年半で

東京が恋しくなり、国分寺市にプロが建てた建売を買い、伊豆の家は

転売したが、買い手には「こんな値段で良ろしいのでしょうか」と

云われた。