なぜゴルフ狂になったのか 第三話

 なぜゴルフに夢中になったか、自分の体験ばかり思いだして

書き始めたので、最初にゴルフというスポーツの特徴を挙げ

なければいけなかったことを忘れていた。

 

 本当かどうか自信は無いが、ゴルフの発端は羊飼いの

少年たちが布を糸で巻いて球状にして、先端が曲がった

木の枝で打って前に飛ばしながら遊んでいたのを見た貴族が、

考え付いたとどこかで読んだように思う。

 

 だから、ゴルフコースは出来るだけ手を加えず、自然のままの

状態を残すのが基本である。矢鱈、土を削って平らにして芝生を

植えて美しいコースを造るのは邪道であるが、日本人はそのほうを

好む傾向がある。

 

 ゴルフの醍醐味はボールを遠くに飛ばす快感、コースにより

異なる景観を楽しめること、同伴プレーヤーとの親睦を図れる

こと、最後に揚げるとすれば、プレー後の入浴とその後の

ビールでの乾杯だろう。

 

【3】ゴルフの魅力と他のスポーツと断然違う点は

「ゴルフコース」にある。

 

 私はニューヨークで29才と遅いスタートだったが、最初から

パブリック・コースに連れて行かれ、道具はレンタルし、手袋、

ボールなどはプロショップ(売店)で買い整え、練習場に行き、

周りを見ながら、自己流で打ち始めた。その後、コースに出て、

兎に角ボールを前に向かって打つた。殆んどゴロばかり。

スコアはつけられる訳がない。

 

 コースは平らな「林間コース」で真ん中がフェアウエイで、

両側が林である。途中にクリークという小川があったり、池が

あったり、バンカーという砂場があったり、終点はグリーンという、

芝生を張った相撲の土俵みたいなものがある。

 

 このゴルフ初体験がゴルフに夢中になった発端である。

 

  ゴルフコースは一般的にはメンバーコースと云い、会員権を

買って会員にならないとそのコースでプレーが出来ないが、

既に会員になっているメンバーに連れて行って貰えばプレーが

出来る。メンバーシップというのはメルセデスベンツを持つのと

同じで社会的なステータスシンボルである。

 

 会員権にも種類があり、先ず、平日会員権(土日祝日は駄目)と

無制限の会員権があった。確か、他に配偶者とか家族会員権も

あった記憶がある。昭和末期のバブルのときは、この会員権が投機の

対象となり、私も買ったり売ったり、その間にプレーもして楽しん

だり、利益も出たが、結構税金を納め、国の財政に貢献した。

 

 日本では少ないが誰でもプレーできるパブリックコースもある。

但し、予約が難しかった。プレー希望日の予約受付開始日早朝から、

電話で申し込むしかなかった。今は、どうだろう。ネット予約も

あるかも知れない。

 

 コースの種類も大きく別けて、平地の林間コース、アップダウン

がある丘陵コース、更に複雑な地形の山岳コース、海岸の風の強い

海岸コースなどがある。アメリカには住宅開発の一つの形として

真ん中に林間ゴルフコース、そのまわりに住宅を配置するという、

広大な土地を生かしたものがある。日本でも、別荘地に隣接した

ゴルフコースはある。それと、川奈ゴルフが典型的な例だが、

付属のホテルに宿泊すればメンバーでなくてもプレーできる

コースがある。

 

 最後にコースの中にあるハザードに触れる。ウォーター・

ハザードに二種類ある。池とクリークである。クリークとは

細い小川でフェアウエイを横切るものと、フェアウエイの右か

左の端を流れるものがある。幅は2~5メートルが普通である。

池は稀に、真ん中に島のようにグリーンが造ってあり、届かなく

ても、飛び過ぎても池ポチャとなるコース設計もある。

 

 バンカーというのは、中に砂が入っているから砂場とも云える。

浅いのと深いのがあり、フェアウエイの中ほどにあるのをフェア

ウエイ・バンカー、グリーンの周りにあるのをグリーン・バンカー

と云う。全英オープンで見かける「たこつぼバンカー」は小さくて

深いから出しにくい。他方、大きくて、人間の身長の倍以上深い

のもあり、これもグリーンまで届かなければ戻って来るし、

飛び過ぎると、グリーンの向こう側の同様のバンカーに飛び込み、

所謂、「バンカーからバンカー」の繰り返しも起こり得る。

それを見越して、グリーンではなく、後ろのフェアウェイに

向かって打ち出すことも作戦である。 この手のバンカーは

遠回りしても、絶対入れない、落とさないのもスコア・メイクに

必要な作戦である。

(つづく)