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トリスタンとイゾルデ

 

トリスタンとイゾルデ」という悲恋物語を知らない人がいたら、

読んでください。トリスタンはフランス人の男性の名前です。 

イゾルデはアイルランドの王女ということになっていますが、

フランス読みでは「イズー」となります。 つまり、「トリスタンと

イズー」とも呼ばれています。 原作はゴットフリート・フォン・

シュトラスブルグの叙事詩となっており、ワーグナーがオペラの

題材として使っています。 

私がこの物語りに遭遇したのは、大昔、大学受験浪人時代、東京の

皇居に近い日比谷図書館に毎日通い、独学中の勉強の合間に、

西洋文学全集のなかのフランス古典の中にあったように記憶します。 

 

伝説上の中世、舞台はイングランド西南部のコーンウオール。 

アイルランドの王女イゾルデは、コーンウオールを治めるマルケ王

に嫁ぐため、王の甥であり忠臣であるトリスタンに護衛されて

航海していました。 かって、トリスタンは戦場でイゾルデの

婚約者を討ち、そのとき自らも傷を負ったものの、名前を偽り

イゾルデに介抱してもらったことがありました。 このときイゾルデは

トリスタンが、婚約者の仇だとすぐ気が付きましたが、そのときは

すでに恋に落ちていました。 イゾルデは自分を王の妻とするために

先導するトリスタンに対して、激しい憤りを感じています。 

彼女は一緒に毒薬を飲むことをトリスタンに迫りました。 しかし、

毒薬の用意をイゾルデに命じられた侍女が毒薬のかわりに用意したのは

「恋の媚薬」でした。 そのため、船がコーンウオールの港に到着する頃、

トリスタンとイゾルデは強烈な恋に陥っていたのです。

イゾルデがマルケ王に嫁いだ後のこと、マルケ王が狩りに出掛けた隙に

トリスタンがイゾルデのもとを訪れ、二人は愛を語り合います。そのとき、

急にマルケ王は戻ってきました。 

これは、イゾルデに横恋慕していた王の忠臣メロートの策略でした。

マルケ王はトリスタンの裏切りと妃の裏切りを深く嘆きます。 王の問いに

トリスタンは言い訳をしようとはしません。 王に代わってメロートが

斬りかかってきたところを、トリスタンは自ら剣を落とし、相手の刃に

倒れたのでした。

フランス西北部ブルターニュにあるトリスタンの城。 

トリスタンの従者クルヴェナールは深手を負ったトリスタンのために、

イゾルデを呼び寄せました。 しかし、イゾルデが到着した瞬間に彼は

息絶えたのでした。 そこへ、すべては恋の媚薬のせいだと知った

マルケ王がやってきます。 ただ、そのときには、すでにイゾルデは

トリスタンのあとを追うことを決めていました。 彼女は至上の愛を

感じながら、トリスタンの亡骸の上に身を重ねたのでした。 (完)