マイカーものがたり(中編)

 忘れてましたが、アメリカ車はオートマだったんですね。 日本で教習にてこずったのはクラッチ付きだったからなんです。 さて、初めてのマイカーですが、これは聞いたことのないアメリカン・モーターという会社の、経営危機を救った人気車だったのですが、「安かろう」「悪かろう」だったような気がします。 前のオーナーのメンテナンスが悪かったのかも知れません。 日本は2年ごとに車検があり、厳重なチェックを受け、きちんと修理が行われて安心です。 アメリカには車検制度がありません。 自分の責任なので、故障が起きないと修理をしません。危ないですね。 或る時、客先へ行った帰りに突然高速道路でエンジンから煙が噴き出し、出口までは行こうと無理をしたら、止まってしまいました。 ハイウェイ・パトロールが来て、レッカーを呼んでくれました。 修理工場ではバルブが溶けてしまい、修理は出来ない。 中古エンジンに取り換えるしかないと言われ、300ドルくらいかかった。 そのうち、今度は、トランス・ミッションの故障で、ギヤーがバックに入らなくなった。 これは、新品に交換で、また、300ドルくらいかかった。 最後は、駐在2年で帰国の直前、ラジエーターの水漏れでエンジンがオーバーヒートし、ついに廃車にしました。 帰国までは、気分直しに、恰好のいいスポーツカーをレンタルして、めいっぱいドライブを楽しんで帰って来ました。

 6年後、二度目のニューヨーク駐在、今度は間違いのない、GM系の新車を購入することに決め、シボレー系モンテカルロとカプリス、オールズモービルなど、すべて8気筒4500CCのフルサイズカーを乗り回した。 アメリカはとてつもなく広いが、ナイヤガラに9時間、フロリダのデズニーワールドには2日半など超長距離のドライブをこなしてもトラブルは起きなかった。

 米国人マネージャーたちとロスアンジェルスに出張した帰り、金曜日だったのでラスベガスに寄ろうと飛行機の予約を取ろうとしたら、満席で予約取れず、よし、それではと、レンタカーでベガスに向かった。 最初は運転を交代することになっていたが、運転の好きな私が6時間全部運転してしまった。 これも、道路が広く真っ直ぐで、車が良かったお陰だと思う。  

 後年、コロラド州デンバー市に半年間駐在したが、前任者が乗っていた社用車が高速道路で立ち往生した。 どんなメンテナンスをしていたのか不安で、新車のGM系ビューイックを会社名義でリースし、帰国命令がきたときは引き取り手がニュージャージー本社にしかいないので、ロッキー山脈を背に東に向かい、3日かけて到着、無事引き渡した。 次は、いよいよ、日本の話。               (つづく)