ウソー!ホント? 第十九話
今度はカナダのお話しです。 アメリカは良く知られて
いますが、カナダのことは、あまり、知られていないと
思います。特に、今回お話しするノバスコシア(Nova Scotia)
を知っている人は少ないでしょう。
彼はニューヨーク駐在の日本人商社マンで、ステンレス
鋼材の輸入販売をしていました。あるとき、海上貨物の保険
会社からの情報で、カナダのノバスコシアのハリファックス
に寄港している貨物船から、航行中暴風雨で海水をかぶり、
錆びてしまったステンレス厚板を引き取り、買い手を探して
いるとのこと。
地図で場所を見てください。大西洋岸の赤い島です。
買い取って加工すれば売れると読んで、米国人スタッフと
現場に飛びました。商談は即決で決まりましたが、手配に
時間がかかるので、岸壁に近いホテルに宿泊しました。
夜、ベッドに入っても眠れず、思いついてホテルの電話
交換手に電話して、少し、近所の事を教えて貰いました。
それから、しばらくは眠ろうとしますが、眠れません。
もう一度、交換手に電話して、勤務は何時までか聞くと、
夜中の12時までで、もうすぐだと云います。そこで、
ホテルの外に一緒に行かないかと誘うと、OKとのこと。
ホテルは古城のように黒々と聳え立ち、玄関は地上から
かなり高い所にありました。一寸待ちましたが、彼女は
出て来ません。ところが、玄関より大分下のほうで、
ホテルの端のほうから歩み出て来る人影が見えました。
見ていると、姿が消えていました。
電話での約束は何だったのか、疑問だけが残りましたが
夜霧で視界がぼやけていて、ロマンチックな思い出でした。