まさか、嘘でしょう? 第十話
「事実は小説より奇なり」ですが、この話は殆どが事実です。
昔、ある30台後半の男が商売半分、観光半分で山陰地方に旅を
大山、米子温泉、宍道湖のある松江、日本一長い露天風呂のある
「怪談」のラフカデイオハーン(小泉八雲)が住んだ家、
更に、松葉ガニという珍味、等々、観光資源が溢れています。
ここで、一寸ネットから拝借した写真を入れましょうか。
このような神話、伝説の地だからか、奇妙なことが起きたのです。
彼は泊まった海辺のホテルの最上階のレストランで朝食を摂って
いました。偶々、他に客はおらず、若いメードさんも手持無沙汰の
ようで、彼が「この土地の人?」と訊くと「いいえ、隠岐の島出身
です。」という返事。それから、少し、話が弾んで、彼女の方から
「夜はどうされるのですか?」と聞かれ「何も無いけど」と答えると
「カラオケとか案内しましょうか?」と云うので「それは有難い」と
デートの約束が出来てしまいました。
その夜、彼女の案内でカラオケのあるバーに行きます。お互い次の
日の仕事があり、適当に引揚げ、タクシーで彼女のアパートに送ろうと
外で空車を待ちます。ところが、彼女「もっと一緒に居たい」と云い、
はたと気が付きます。 タクシーの運転手に「どこか静かなところへ」
というと慣れたもので、何も聞かずに、とあるモーテルに行きます。
次の日は仕事ではなく、大山でゴルフの約束があると云ったら、彼女は
「車で送り迎えします」と云い、本当に送迎してくれて、夜は、また、
モーテル行きです。次の日は東京に飛行機で帰ります。
ところが、彼女から会社に電話が入ります。話しの内容は何という
ことは無く「声が聴きたいの」というだけ。三度目くらいには
「そんなに長距離をかけたら金がかかって大変だろう」と云うと
「お給料全部電話代に使ってもいいの」と云われ、さすがに、
彼も燃え上がってしまい、「夕方の便で飛んで、空港に着いたら
電話する」と返事をします。
然し、仕事が片付かず、飛行機の時間に間に合わず、新幹線の最終便で
岡山に行くことにして、駅のホームでの待ち合わせに変更と連絡します。
岡山駅前の旅館に一泊、次の日は京都に行き、京都に一泊、次の朝、
西と東に別れます。
年の差14、5才の乙女からの夢の様な恋慕。
これこそ「神ってる」としか言いようがないでしょう。