へー、ほんと? 第三十一話
ある男が大学3年のとき、社交ダンスの講習会で何人かの学生やOLと
親しくなり、デートに発展した。 一人、体格が良く、顔は丸顔で
朝顔が開いたような派手な顔立ちの女性がいた。 背が高いので
他の女性より目立っていた。 講習会の後、男が後をついて行き、同じ
バスにのったら、彼女に「何処まで行くの?」と訊かれたが、言葉を
濁し、結局彼女の降りるところまで一緒に行ったら、彼女が「家に
来る?」というのでついて行った。
しかし、何故かこの女性とはデートに発展しなかった。
多分、見かけが派手で気後れがしたのだと思う。
2年後、就職して、昼食を食べに外に出て、事務所に帰る途中で、
偶然彼女と再会した。 その時は名刺を交換しただけで別れた。
男には既に結婚の約束をした女性がいたから、一切連絡をしなかった。
ところが、ある日曜日、彼女の方が男の自宅に訪ねて来たのである。
母親は大いに気に入り彼女を歓迎した。
男は状況がまずくなりそうなので、尻を叩くように彼女を連れ出し、
歩きながら、結婚を約束した相手がおり、彼女との交際は出来ないと
伝えた。 彼女は一旦は納得したように見えた。
ところが、ここで男は妙な話を始めるのである。
「実は、夏休みを取って東北に一週間位の旅行に出かけるのだが、
結婚を約束している彼女が父親の反対で一緒に行けない。
良ければ一緒に行ってみますか?」
驚いたことに、彼女は「是非連れて行って」と答える。
男は喜んでしまい、翌日一緒に「周遊券」を買いに行く約束をする。
男は、出発当日、上野駅のホームで彼女を待ちます。
然し、列車の発車時刻が近づいても彼女は現れません。
何事も無くて良かったのだが、詰まらない結末で
お粗末様でした。