古典文学への回帰から得たもの(3)
古典中の古典を読み飛ばして来たが、読み物として面白かったのは
「源氏」と「ギリシア神話」である。いずれも、男女の愛慾や
憎悪が満載で、現代に置き換えても分かる物語である。
古典と云えば、「聖書」があるが、文学ではないし、面白いとは
云えないので、パスする。
古典ではないが、西暦1800年台のフランスの女流作家の
熱愛で名前だけは知っていた。作品は読んだことが無いので、
何となく気になってウキペディアで調べたら、なんと、女流作家
のパイオニアなんだそうだ。田舎の男爵と結婚、二人の男の子が
出来たが、退屈な生活に飽きて子供を連れて、パリに出たシングル
マザーである。生活の手段として小説を書いたのだが、男装で
社交界に登場、男遊びの暴露本で人気を得た。誰であれ、初期の
作品から読むのが礼儀と、「愛の妖精」を選んで読んでみた。
田舎を舞台にした若い男女のからみあいがうまく書けており、
これも現代の話としても良いくらい。
西洋文学も日本文学も、大学入学前に日比谷図書館での受験勉強の
合間に全集で読んだのだが、古典というほどの作品は覚えていない。
西洋文学で記憶に残ったのは、「巌窟王」「椿姫」「クリスマス・
読んだのは間違いないが、面白いとは思わなかった。
日本文学では「雪国」「坊ちゃん」「春琴抄」などは夢中で
読んだが、ほかは記憶に残っていない。本棚の端から順に借りて
詰まらない所はスキップしながら、相当の冊数は読んだが。
それに較べると、今は、ウキペディアで作家のプロファイル、
推奨されている作品を見つけ、通販で買って読むという便利な
世の中。問題は本が増えて置き場所に困ることだが、それも
電子書籍でスマートに読める時代。
学生、サラリーマンと読書に夢中になる余裕が無かったのが、
一生の最後に思いっきり文学に浸れるのは何と幸せなことか。