古典文学への回帰から得たもの(2)

 自分は文科系の人間ではない。理系でもない。

子供のときに「講談全集」を読んだり、ラジオで落語を聞いて

笑うところではちゃんとゲラゲラ笑っていたから、人情とか

庶民の生活の裏表を理解していたようだ。

 

 歴史上の人物の伝記や物語が好きで、長じて歴史とか文学を

読むのが好きになった。特に、西洋史と西洋文学に興味を持った。

歴史とか文学とは云っても、中身は男と女の絡みが軸であり、

日本史や東洋史にはそこが描かれていないので興味が無かった。

 

 その結果、欧米に駐在することを目標にして、外語系大学に

進学、商社に就職、米国、カナダ、ドイツ、オランダ、スペイン、

フランス、デンマーク、スエーデン、スイス、ブラジル、

アルゼンチン、南ア、韓国などに足を踏み入れ、外国人と

触れ合うことが出来た。

 

 前置きが長くなったが、実社会から遠ざかり、好きだった

恋愛小説を手当たり次第に読みながら、余生を楽しんできた。

ジャンルとしては、恋愛小説と云っても、ラノベとかポルノ系

ではなく、文学の香りがする長編小説が好みである。

 

 ところが、80才という節目の年になったら、古典中の古典

から読み直したくなった。ダンテの神曲の次はシェークスピア

とも思ったが、もう一度古代に戻って「ギリシア神話」を読みたく

なった。これもかつて、大学受験で勉強中、偶々、神田の古本屋で

英語版「Greek Miths(ギリシア神話)」を見つけて、面白半分で

買って読んだが、内容をまるで覚えていない。「ダンテの神曲」の

縁で阿刀田高氏の「ギリシア神話を知っていますか」の存在を知り、

通販で購入。大神ゼウスなどギリシアの神々の人間臭い物語は

面白かった。実は、この時、日本最古の古典とも云える「古事記」に

ついても阿刀田高氏の「たのしい古事記」を購入してあり、本日

読了したが、日本の神様の数は何故そんなに多いのか。大和朝廷

官製歴史だから仕方が無いが、物語部分のみで「古事記ものがたり」

が有ったら読んでみたいと思った。(つづく)